アートディレクター 増田総成に聞く 「デザインで課題解決する力」

9 / 18 . 2018

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クリエイティブディレクター/アートディレクター 増田総成

 

ADFEST 2018のデザインロータス ポスター部門でブロンズを受賞したWWF JAPANの「WITH STAMP」キャンペーンを企画したのがクリエイティブディレクター・アートディレクターの増田総成。増田は、デザインを通して企業が抱える現在の課題をどう解決するか、ビジネス視点で関われるのが面白く、それが今の仕事の醍醐味だと語る。「デザインで課題解決する」仕事とはどのようなものか。

野生動物の危機を身近に感じてもらいたい。

WWF は世界100カ国以上で、地球環境の保全に取り組んでいる団体。しかし。環境保全に対する人々の関心を高め、寄付に結び付けたいという課題はあっても、具体的にどう行動すれば良いのか、明確な回答を出せずにいた。増田は、そうした社会的課題に興味があったこともあり、WWFについてじっくり調べた。団体の課題にデザインというエッセンスを加え、ソリューションに結びつけるにはどうしたらいいか。

そこで生まれたアイデアが、動物をモチーフにしたネイルアートを通して野生動物の危機を考えるきっかけを作る「Donail(ドネイル)」キャンペーン。 nail(ネイル)と Donation(寄付)を掛け合わせた造語からネーミングした。絶滅の恐れがある動物20種類を選び、それらをモチーフにネイルアートを作成。全国のネイルサロンに協力してもらい、施術代の一部を募金してもらうという仕組み。

「特に若い女性たちに、自然保護を身近に感じてもらうことが狙いでした。結果としてSNS などで拡散し、最終的には全国で約100 店舗に協力をいただき、募金も多く集まりました。特に、これまであまり自然保護に興味のなかった層へアプローチできたことは、大きな成果だと思います」と増田は振り返る。

第二弾は日本のハンコ文化に着目

野生動物の危機に関するキャンペーンの第二弾として、2017年に行ったのが、「WITH STAMP」だ。自分の名字に絶滅の恐れがある動物のシルエットが盛り込まれたハンコを作れるというもの。デザインした漢字は約 500 種。それらを組み合わせることで 2 万種類もの名字に対応した。

特設サイトで、自分の名字(漢字)を入力すると、絶滅危惧種の動物のシルエットと文字が一緒になったデザインが自動生成され。SNSで拡散することもできる。オーダーも簡単に出来て、購入金額の一部がWWFの環境保全活動への寄付になる仕組み。日本独自の「ハンコ文化」を活用した、全く新しい野生生物の保護活動支援としても注目を集めた。

デザインを生活の中に。

「どちらのキャンペーンにおいても、僕が目指したのは、デザインを生活の中に取り込むこと。あくまでも 日常の一部として寄り添えるデザインを考えることで、問題を身近に感じてもらい、自然と解決につながるような動線を考えました」と、増田は語る。

2017年クリエイター・オブ・ザ・イヤーでメダリストを受賞

一般社団法人 日本広告業協会(JAAA)主催による2017年クリエイター・オブ・ザ・イヤーでは、増田はメダリストの一人に選出された。この賞は、同協会会員社の中で2017年に最も優れたクリエイティブワークを行ったクリエイターを表彰するもので、「WITH STAMP」をはじめ、大塚製薬 オロナミンC「20年分のありがとう新聞」など大きな話題となった作品を手がけたことや、クリエイティブに対する姿勢が高く評価されての受賞となった。

右が増田総成、JAAA授賞式にて。左は同じくクリエイター・オブ・ザ・イヤーメダリストを受賞した森川晴久

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