今どき☆新シニア研究所稲葉光亮に聞く
人生100年時代のシニア・マーケティング <後編>

7 / 18 . 2019

今どきのシニア像についてお伝えした<前編>はコチラをご覧ください。

これから注目のシニア「オタクティブ自分的男子」、「オタクティブ美的女子」

―最近では、50代も新しいターゲット層として視野に入れ始めていると。

今年になって、生命保険業界など、50代を「シニア」と捉えてマーケティング展開する企業が出てきています。「ADK生活者総合調査2018」のデータで、50代対象者の調査結果を基にシニアクラスタを切り直しました。すると、50代~60代~70代の三時点に於けるクラスタ構成比に明らかに連続性が見られました。50代男性では「オタクティブシニア」が実に44.6%(60~70代で31.9%)と超マジョリティとなり、50代女性では「マイペース美的シニア」が28.1%(60~70代で19.4%)と、最大多数の「ザ・おふくろ」(32.3%)に迫るボリューム特性を見せました。つまり、「これからのシニア」としてこの層をウォッチする必然性があると言えます。

これを受け、今年のチームの方針としてこの2層のネーミングを思い切って変えることにしました。これからは、男性の「オタクティブシニア」を「オタクティブ自分的男子」、女性の「マイペース美的シニア」を「オタクティブ美的女子」と呼んで行きます。50~60代前半の著名人≒先進層を見ても、もうシニアとは呼べないな、という実感に基づいているものです。

クラスタの年代別構成比グラフ

「超高齢社会ニッポンの課題解決は、産官学民の総力戦!」

―世代を超えて若者やキッズとの共同研究やFintechチームとのコラボなど、様々なアプローチからの取組みが始まっていますね。

2017年にはシニアターゲットの研究だけにとどまらず、当社「ワカスタ(若者プロジェクト)」「キッズ研究所」と共に「ジェネレーションチーム」としての連携を深め、各層の共通ベースである“生い立ち”にフォーカスしました。具体的には、各年代層の代表年齢の人間が小学校から大学に至るまで、どんな世の中を過ごしてきたかを探ったデータベースを作成しました。
また今年はFintechチームの中に「シニア×Fintech」という分科会を設け、「シニアとお金」のアプローチのきっかけを探る取り組みを進めています。

―「人生100年時代」「生涯現役」におけるシニア・マーケティングは一筋縄ではいかないようですね。

人生100年時代と叫ばれて3年、ある高齢者NGOの代表が昔おっしゃった「超高齢社会ニッポンの課題解決は、産官学民の総力戦!」という言葉が恐ろしいほどの現実味を帯びてきています。当チームも最近は成功・失敗を含めた広範な業種のケーススタディを刷新したり、前述のターゲットクラスタの属性データのチューンナップをしたりして、営業と共にクライアントの課題を探り、答えを出して行くための臨戦態勢とそれに必要な戦力・兵站の整備を怠らないようにしています。10年強の間に情報共有や刺激をいただいてきた外部機関や専門家の方々とも、これまで以上に強く、また戦略的に連携して行きたいと思っています。
今後ともADKグループのシニア・マーケティング活動にご期待下さい。

<「今どき☆新シニア研究所」について>

当社のシニアターゲット研究とアプローチのスタートは2005年に遡り、前述の団塊世代が間もなく60歳の定年退職だから市場が動くぞ、とのムーブメントに対応するために始まりました。当時は意識が高くきちんと消費に向かえる人、という意味で「リッチシニア」というコアターゲットを設定し、彼らの実像とインサイト深掘にトライしました。
そして、前述の2011年を迎え、シニアプロジェクトチームは「アラ☆ダン研究所」として発足した後、「アラ☆ダン11」等のマーケティングツール開発と様々なクライアントへのアプロ―チを推進し、一部の業界で具体的なコミュニケーション開発も展開。
ここ数年は、シニア層に向けた商品・サービス開発・コミュニケーション開発を考えない企業がいないくらい、ニーズの強いターゲットとして注目されるようになると、各々の業種・企業・ブランドに、より深く刺さるマーケティング・アプローチが求められるようになりました。

ADKはマーケティング研究だけではなく、シニアと企業を結ぶ接点(媒体に限らず、ワークショップなどのインキュベーションの場も含めて)やシニアの五感に刺さるエグゼキューションの開発を視野に入れて、先鋭化していきます。

現在のチームメンバーはマーケティング・ソリューションズのストプラ本部(総合戦略室含む)とクリエイティブ・ワンにまたがる組織に属する数名の“プレシニア(笑)”で構成されています。

ADK

ADKの運営する、社会の既成概念をじわじわ融かす新しいメディア