「『キュン』とするKPI革命」から見えてくる未来の広告とは?

9 / 26 . 2018

JIAA懸賞論文最優秀賞受賞の古賀昭子が提唱する新たなKPI指標とは

JIAA(インタラクティブ広告協会)主催の「2018年インタラクティブ広告に関する懸賞論文」で、インタラクティブメディア本部の古賀 昭子が最優秀賞を受賞しました。受賞論文「『キュン』とするKPI革命」では、生活者が広告に接したときに「キュン」とする、その心の動きを測り、新たな効果指標とすることを提唱するもの。インプレッションやクリック、ソーシャルシェア数といった数字に必ずしも表れないブランドへの「好意の熱量」を、新たな指標「『キュン』度」としてKPIにするという新鮮な提案です。論文の背景について、古賀に聞きました。

古賀昭子

論文の中で、“「キュン」度”という新しい効果指標をつくることを提唱していますが、この“「キュン」度”を思いついたきっかけはあったのですか?

デジタルプランナーとして、日々過去の実績値などからプランを策定する中で、ふと思ったことがあったんです。「広告に接触した生活者にとって、良質なブランド体験や絆を深めるようなコミュニケーションが生まれたかどうかということが、この数値の羅列だけで読み取ることができるのだろうか」と。

クライアントが私たちプランナーに求めるものはなんなのか。そう考えた時に重要なのは、広告との出会いから生み出されるブランドのイメージの向上、体験、感動がどれだけ蓄積されたかどうか、ということだと思うんですね。

でも、実際にキャンペーン後にレポートする際には、実施したキャンペーンの広告配信結果を、プラン段階で設定されたKPIの数値と並べて、「インプレッションが」「クリック率は」「クリック単価は」「エンゲージ数は」「効率がいいのは」・・・と、なるわけです。プランナーもクライアントも、レポートに並べられた無機質な数値の羅列をもとに会話をするしか術がなく、本質的な話ができていないのではないか、と感じていました。

実際にその広告に接触したユーザーの認知や関心、好意度を測ることは、そんな従来の効果指標から読み取る数値だけでは、厳しいのではないか。特にブランディング型のキャンペーンに適切だとは思えなかったんです。広告接触によって生じるユーザーの心の反応は、KPIとして設定されることの多いリーチ数やクリック数、クリック単価で測れるものなのか、と。

本来もっとも注目したいのは、どれだけ見られたかの表面上の数値ではなく、どれだけユーザーの心に響いたか、どれだけ興味を持ってもらえたかの「広告に対する好意の熱量」のはずだと思いました。

そこで、従来のもので足りないのならば、新たな効果指標をつくればいいではないか、広告接触者の良質なブランド体験や感動を数値化できる指標はなにか、と考えていきついたのが、今回論文で提唱した“「キュン」度”だったんです。

そもそもこのタイトルが、キュンとさせるタイトルですね。なぜ「キュン」なのですか?

特に深い理由はないんです(笑)。「グワ」度や「ドキュン」度、生真面目に「広告効果蓄積度」でもなんでもよかったんですが、語呂がよく、覚えやすいし、つい言葉にしたくなる、ということから選びました。

思わず口にしたくなる言葉ですし、「キュン」と聞くだけで、「キュン」とする瞬間のときめくような気持ちが伝わってきます。古賀さんの「キュン」度が上がるときはどんなときですか?

クリエイティブとそれを乗せるメディアの相性が抜群に良いと感じる広告と出会ったとき、キュンとします。職業病でしょうか・・・。

実際に“「キュン」度”を測るには、最新のテクノロジーを使うことで可能になると、事例とともに紹介されていますね。

10年、20年先になるかもしれませんが、テクノロジーの進歩によって実現する可能性は高いと思います。

例えば、Apple Watchのようなウェアラブルデバイスが全ての広告と連動する未来がくると仮定して、(5Gだとこれができるかもしれないですよね?)そのデバイスに連動した広告を見た時の鼓動、体温、発汗、脳波などの差異を計測し、AIにデータを食べさせていく。そうやって、時間はかかるけど十分なデータが蓄積されれば、いつか様々なメディアに出る、様々な広告に対しての「好意の熱量」を公平に計測できるんじゃないかと。 「キュン」をKPIとして広告の価値を測れるようになる、これが実現可能となるときは、世界が表面の事象だけでなく、その事象の原因に重きを置くようになっていることを意味します。見えないことに目を向けることで、人がもっと優しくなれると思うんです。そんな、キュンKPIを元に作られる未来の広告を想像すると、わくわくします。広告は、その時代を生きる人間の性質を映し出す鏡ですから。それが、私の想像する「キュン」とする広告の未来です。

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